一般的には、男性よりも女性の方が体の柔軟性が
高い(柔らかい)といわれます。
なぜ、女性の方が体が柔らかいのでしょうか?
これには、「関節の構造」や「ホルモンの分泌」などが
影響を与えているとされています。
関節の構造
男女の体の構造の中で、最も顕著に違いがあるのが「骨盤の形」です。
女性の骨盤は男性よりも横幅が広く、大きい構造になっています。
この画像をみると、骨盤底部の「恥骨下角」の角度の
違いがわかると思います。
女性の骨盤は、大腿骨が収まる股関節も幅が広く厚みが少ないため、
関節内に大きな遊びがあります。
この股関節の遊びがあることで可動域が広くなり、
柔軟性の高さにつながっています。
また、股関節以外で女性によく見られる体の特徴として
「肘関節の過伸展」があります。
これは、肘の関節の突起上部が男性よりも
短いことによって起きています。
俗に「猿手」と呼ばれます。
骨盤にしろ、肘関節にしろ、関節の構造によって体が柔らかく「見えている」だけで、
実際のところ、筋肉の硬さとは関係ありません。
「見た目の柔軟性の高さ」と「実際の筋肉の柔らかさ」は
同じではないということです。
ホルモンの影響
他にも、女性の体は、ホルモンによる影響も受けています。
女性ホルモンの1つである”リラキシン”には「靭帯を緩ませる作用」があり、
妊娠期間に多く分泌され、骨盤を広げて、赤ちゃんの通り道を確保する役割を担っています。
ホルモンは血流に乗って全身に行き渡るため、骨盤以外の
関節部にも影響を与えてしまいます。
このホルモンが、靭帯を緩めるということは、関節を不安定にしているだけで
体(筋肉)そのものを柔らかくしているわけではありません。
逆に、不安定な関節を安定させるために、筋肉に頼る結果となります。
柔軟性の高さというカラクリ
柔軟性が高いということは、筋肉が柔らかく疲れにくいというイメージがありますが、
関節がどの程度動くかを示す一つの指標に過ぎないのです。
関節内部の構造やホルモンの影響は、関節をゆるめて不安定にしているだけで、
決して筋肉を柔らかくしているわけではないということです。
まとめると、見た目で体が柔らかく見えても、決して柔軟性が高いと
いうことには繋がらないため、ストレッチなどのケアが
日頃から大切だということです。