「ストレッチ=血行促進」
ストレッチをすると血行がよくなるようなイメージは
あるのではないでしょうか。
では、ストレッチ中の血行促進は、どのようなメカニズムで
起こっているのでしょうか。
メカニズムと聞くと、なんだか難しそうに聞こえますが、
メカニズムを知っていると、普段のストレッチの効果も
より高まってきますので、頑張って読んでみてください。
リバウンド現象
ストレッチをしている最中に筋肉内では一時的な”虚血(きょけつ)”が起こっています。
これはすなわち「血流量の減少」を表しています。
虚血状態というのは、
長軸方向に伸ばされることで、”血管の直径が小さくなる”こと
せん断力によって、”血管が圧迫される”こと
という2つの要因によってもたらされています。
特に筋肉の中央内部(筋腹周辺)は、外部・周辺部よりも
はるかに血流が低下するとされています。
ネコの腓腹筋を用いた実験では、筋肉を10〜20%ストレッチすると
血流量は平均5.0ml/分から3.0ml/分にまで低下したことが
報告されています(Shustova,Matchanov et al.1985)。
そして、ストレッチをはじめて1分後には毛細血管において
平均0.3±0.06mm/秒の血流速度のアップが確認されています。
このように、一度血流が阻害されて、そこから加速していく
この現象のことを「リバウンド現象」とも呼んでいます。
リバウンド現象はどこで起こっているのか
体内の血管は大きく分けて
動脈
静脈
毛細血管
の3種類があります。
<動脈>
動脈というのは「心臓→体」に向かう血流のことです。
大部分の動脈は「筋性」であり、血管の収縮と拡張によって血流が調整されています。
また、心臓のポンプ機能によっても血液が押し流されていくので、静脈よりも血管壁は厚く、血流速度も速い傾向があります。
<静脈>
一方で「体→心臓」に向かって流れているのが静脈です。
血管における筋力や弾性線維の割合は少なく、動脈よりも「流す力」が弱い傾向にあります
そのため、血管内に「弁」を持ち、逆流を防いでいるという特徴があります。
<毛細血管>
毛細血管は、動脈→細胞・細胞→静脈の”間をつないでいる”血管です。
この部分の壁は非常に薄く、内皮細胞の1層のみとなっています。
そのため、物質の通り抜けができることが大きな特徴です。
<ストレッチによる血管の変化>
ではこれらの血管では、ストレッチによってどのような変化が起こっているのでしょうか。
ストレッチをすると一時的な虚血状態が起き、そこから「リバウンド現象」に
よって血流促進が起こるとされています。
”動脈”は「心臓のポンプ機能」と「筋性の血管壁」によって流す力が強く、
”静脈”は筋肉に刺激を入れないと流す力が弱くなってしまいます。
静脈は動脈に比べて「血液を流す力」が弱いのです。
ストレッチをすると、この静脈の流す力を助けることができます。
特に「静脈の血行促進」が顕著に起こり、全身の老廃物の
回収スピードが上がります。
これによって、疲労の抜けが早まると考えられています。
また毛細血管の血行促進も確認されています。
ストレッチにおける主な狙いは「静脈」となります。
まとめ
ストレッチにおける血行促進の基本は「リバウンド現象」にあります。
そしてこれは「静脈」および「毛細血管」において特に顕著に現れます。
「静脈」のながれを、なんとなくでいいので意識してストレッチしてみてください。