ストレッチやヨガは、妊娠中や産後に行われる
運動として推奨されています。
ストレッチは、筋肉の質と柔軟性を維持し、出産における骨盤周りのケアに
なるとともにリラクゼーション効果も併せ持っているとも言われています。
では、妊婦さんがストレッチをする際にはどんなことに
気をつければいいのでしょうか?
危険度の認識
妊娠期間中というのは「体重の増加」や「重心の変化」「ホルモンバランスの乱れ」
など、体のさまざまところに変化が起きてきます。
これらの変化は、個人差があるため、全ての妊婦さんにとって
”安全”で”効果的”な運動というのは存在しません。
痛み
子宮収縮
出血、破水
息切れ
動悸、頻脈(心拍数の低下)
嘔気、嘔吐
むくみ
しびれ
ストレッチや運動で上記のような症状があらわれた場合は
すぐに中止し、医師の判断を仰ぐ事が必要です。
まずは、「安全」が第一ですので、決して無理しないようにしてください。
妊娠時のストレッチのポイント
①「腰が反る」ストレッチはNG
②長時間の「仰向け姿勢」はNG
③過剰に伸ばすストレッチはNG
<①腰が反るストレッチはNG>
妊婦さんは通常時よりも体重が増えています。
これは胎児の成長や脂肪組織の増加、乳房の膨張
などによって起こっています。
この大部分は「体の前面」で起こってくるため、
重心が前方に変位していきます。
そしてこの重心の変化に対してバランスを保つために、
腰部の筋肉に対しては大きな負荷がかかってきます。
したがって、腰が反る(腰椎が前弯する)動きなど、
腰部に負担のかかるストレッチは原則NGです。
<②長時間の「仰向け姿勢」はNG>
妊娠が進むと胎児が大きくなり、子宮の大きさも増大してきます。
長時間の仰向け姿勢は、子宮の大きさと重さが腹部にかかり、
大動脈と腹部大静脈が圧迫してしまいます。
これによって、血液の流れが阻害されて「低血圧の兆候」
が見られることがあります。
これを「仰臥位性低血圧」といいます。
おおよそ3〜7分程度の時間で発生し、息切れ・めまい・頻脈・吐き気
などの症状が起こります。
胎児の低酸素症や不整脈を生じさせてしまう危険性もあるため、
くれぐれも注意してください。
ストレッチは、座位もしくは横向きに寝た状態で行ってください。
<③過剰に伸ばすストレッチはNG>
妊娠中はホルモンの分泌量も過多になります。
女性ホルモンである
エストロゲン
プロゲステロン
リラキシン
といったホルモンは、結合組織である靭帯等の構造をゆるめ、
関節を不安定にしてしまうことがあります。
本来の役割は、出産時の産道を確保するために
骨盤周りの靭帯構造を緩めることにあります。
しかし、ホルモンは血流に乗って全身に運ばれる以上、
どうしてもその影響が全身に及んでしまうことがあります。
したがって、痛みを感じるくらいの強いストレッチや反動をつけた
動きなどは、妊娠時期には不適切なものとなります。
以上が、簡単な注意点となりますが、妊娠中は様々な変化が体に起こるため、
ストレッチをする際には、医師にご相談されることをお勧めします。
何より大切なのは「安全」であることを忘れないでください。
また、妊娠中は体型の変化によって、肩こり・腰痛に悩まされる方が
増えるのですが、「妊娠中なので治療はできないのでは」と思い、
仕方なく肩こり・腰痛を我慢している方も多くいらっしゃいます。
当院では、妊娠中の方でも問題なく治療できますので、
お気軽にご相談ください。