ゆっくりじわ〜っとストレッチを行うと、筋肉の柔軟性は向上します。
では、この柔軟性はいつまで持続するのでしょうか?
ストレッチ後の筋肉の状態
Magnussonら(1998)は「ハムストリングスへのストレッチ」
に関する研究を行っています。
ストレッチの内容は
「90秒間キープ」その後、「30秒の休憩」を5セットとなります。
そして、5セット終了後に「筋肉の抵抗値」を調べたところ、
約13%の減少が見られ、筋肉が柔らかくなったことがわかりました。
しかし「1時間後」に同様の計測をしてみると、
開始時の「抵抗値」とほぼ同程度の値に戻っていることがわかったのです。
同様の研究は他にもあります。
こちらはHughら(1992)が実施した「ハムストリングスへのストレッチ」です。
この実験では「45秒間キープ」を行っています。
ストレッチ後の筋肉の状態を調べてみたところ
「筋肉の粘性と弾性要素」は約15%減少したことが確認されました。
しかし「10分間」の休憩の後に再び筋肉の状態を調べてみると、
ほとんど開始時の状態と同じであったと言われています。
一般的なストレッチだと、持続効果はおよそ「10分程度」なんですね。
このことから、単発のストレッチだと「ストレッチ直後は柔らかくなるものの、
その柔らかさは長期間持続しない」と考えられています。
これは運動前のストレッチの有効性にもつながります。
単発のストレッチは
「筋肉の柔軟性」を向上
「筋肉の出力」を低下
させることがわかっていますが、その持続時間自体はおよそ「10分程度」です。
つまり、その時間帯にトップパフォーマンスを持ってこなければ、
ストレッチは運動に対して大きなマイナスとはなりません。
もちろん
筋肉が冷える(体温が下がる)
副交感神経が優位になる
など多少の弊害は想定されます。
しかし「筋出力の低下」をいたずらに恐れてストレッチをしない、
という選択はよくありません。
運動前のストレッチに関しては、キープ時間を
10〜15秒程度に留めておくことが重要となります。
このことは一方で、軽いストレッチを「高頻度」で
行うことの大切さも表しています。
特に野球やソフトボールなどの「動かない時間」が多いスポーツは、
こまめにストレッチを行うことが大切です。
イチロー選手が常にグラウンドでストレッチを
している姿を、よく目にすると思います。
まとめ
一般的なストレッチによる筋肉の変化は、およそ「10分程度」だと言われています。
これはよく言えば
「ウォーミングアップの前半にストレッチを入れておけば、パフォーマンスに大きな悪影響は与えない」
悪く言えば
「効果がすぐに消失してしまうからこそ、運動時はちょこちょこストレッチをしなければならない」
となります。
今後は、以上のことを踏まえ、ストレッチして行きましょう。