フロリダ大学の味覚研究チームをはじめ、いくつかの研究報告によると、
胎児期の味覚経験が子供の味覚形成に、大きな影響を及ぼしている
という研究データがあるそうです。
赤ちゃんがお母さんのお腹にいる頃、お母さんが食べていた食事が、
子供の味覚に影響するということです。
胎児の味蕾が形成され始めるのは、妊娠8週前後といわれます。
妊娠12週前後には味蕾は成人並に発達することがわかっているそうです。
さらに妊娠20週頃には、舌や口腔内の感覚が形成され、
そのころには甘味と苦味を感じられるようになるそうです。
米・モーネルケミカルセンターでは、生後の赤ちゃんの味覚に影響することを
確認するため下記のようなグループを作り調査しました。
グループ①……妊娠中300mlのにんじんジュースを一週間のうち4日間飲む
グループ②……妊娠中300mlの水を一週間のうち4日間飲む(にんじんジュースを飲まない)
グループ③……授乳開始から2ヶ月間、にんじんジュースを毎日飲む
この後、離乳食を開始した乳児ににんじんジュースを与えたところ、
グループ①のお母さんから産まれた乳児が、最もにんじんジュースを
好んで食したという結果が出たそうです。
これには、食物新奇恐怖症(ネオフォビア)という現象が
影響していると言われています。
この現象は、もちろん大人にもあるもので、
体験したことのない味に対し危険を感じるというものです。
大人は、今までの経験や知識でカバーし、新しい味わいを楽しむこともできますが、
子供の場合、慣れるまでに時間が掛かってしまう場合が多いと言われています。
胎児期の味覚体験が、生まれた後の食べ物の好みに
影響を与えるなんて、興味深い研究結果ですね。