ストレッチの目的は「体の柔軟性を高める」ことと
「血液の流れを促進させる」ことです。
この目的は理解できていても、実際に体の中で
どのような変化が起こっているのか…
については、あまり気にされてない方も多いと思います。
筋肉の内部で起こる現象
そもそも筋肉が疲労して硬くなると「筋内圧」が上昇し、
血液の流れが悪くなります。
この硬くこわばった筋肉にストレッチを行うと
「せん断力」という力が働きます。
せん断力というのは「物体にズレを起こす力」のことです。
ストレッチでは筋肉を”横方向”に引き伸ばしていきます。
伸ばされれば伸ばされるほど、筋肉には”縦方向”の
「せん断力」が生じ、筋肉内では「せん断応力」が発生します。
この「せん断力」が働くと、筋内圧はさらに上昇し、
血管はより薄くなります。
過去には「安静時から20%の筋肉の伸張で、血行が40%減少した」
というデータも上がっています。
ストレッチをしている最中というのは、
逆に血行が悪くなっているんですね。
十分に「せん断力」がかかった状態から筋肉を解放すると、
次に大幅な「リバウンド現象」が発生します。
この「リバウンド現象」よって、血流量は爆発的に増大します。
Kjaeerら(2000)は段階的なストレッチを実施した結果、
「腱周辺の血流量は、安静時の”3倍近く”にも増加したこと」
を明らかにしています。
制限されていた血液の流れが一気に押し寄せるイメージですね。
これがストレッチをしている時に筋肉内で起こっている現象です。
ストレッチの効果を高める方法
血液の流れをさらに促進させるためには
「体温を上げる」ことも大切です。
ほんの数度体温が上がるだけで、血流量は増大し、
神経の伝達速度も速くなります。
最も素早く深部体温を上げる方法は「入浴」です。
液体は熱伝導率に優れているため、ホットパックや
サウナよりもスムーズに熱を引き上げることができます。
血流量が増大している時にストレッチを行うと、
「リバウンド効果」はさらに高まります。
だからお風呂の後のストレッチは効果的なんですね!
ちなみに「マッサージ」も原理は同様です。
マッサージの場合は、わざわざ「せん断力」を生じさせるまでもなく、
直接圧迫によって一時的な虚血状態を作り出すことができます。
そこからゆっくりと圧を抜くことで「リバウンド効果」
が起こり、血行が促進されます。
大切なのは「リバウンド効果」を引き出すために
一度虚血状態を作ることなんですね。
ストレッチもマッサージもリズムが早すぎると
ダメな理由はここにあるんですね。
ぜひ筋肉の内部で起こっていることを
イメージしながら、体のケアをしていきましょう。
ストレッチによって筋肉の内部では、「せん断力」や「リバウンド効果」が
働いていることをイメージしながら取り組んでみられると、
さらに効果は高まってくると思いますので、ぜひ取り入れてみてください。