これはストレッチをしていく上で非常に重要なテーマです。
1ヶ月、3ヶ月、半年…と継続的にストレッチをしていくと、
体にはどんな変化が出てくるのでしょうか?
体に起こる4つの変化
毎日ストレッチを行っていくと次第に筋肉の柔軟性が上がり、
関節可動域が広がってきます。
この時、体の中では以下の4つの変化が起こっていると言われています。
1.”伸張反射”の臨界点が上がる
2.”筋節”が増えて、筋肉自体が長くなる
3.”筋膜”の線維配列が整う
4.”グリコサミノグリカン”が増えて、滑りが良くなる
では1つずつ解説していきます。
1.”伸張反射”の臨界点が上がる
伸張反射というのは、筋肉が強く伸ばされた時に
ギュッと縮む”防衛反応”の1つです。
カギを握っているのは「筋紡錘(きんぼうすい)」という”センサー”です。
筋線維に巻きついているヒモ状のものが筋紡錘です。
(引用:LIFE ORDER スポーツ医科学研究所より)
筋紡錘は筋肉に対して並行に存在しているため、
筋肉が伸ばされると”一緒に”伸ばされます。
強く伸ばされると、筋肉を断裂や損傷から守るために
「縮め!」の合図を発信し、筋肉をギュッと縮ませます。
これが「伸張反射」です。
体がもつ防衛反応の1つですが、ストレッチ時にはなかなか厄介な存在です。
(伸ばしたいのに縮んでしまったら、ストレッチにならないですね。)
特に筋肉がガチガチに硬い状態だと、それだけ伸張反射も起こりやすくなります。
筋肉をちょっと伸ばしただけですぐに力が入ってしまう
原因の1つはここにあります。
じっくりと継続的にストレッチを行なっていくと、
筋肉は伸ばされるストレスに対して徐々に”順応”してきます。
すると筋肉が柔らかくなるとともに、伸張反射の臨界点(センサーが働くポイント)
が少しずつ高くなっていきます。
それによって伸びる範囲が広がると、安定した
可動域を確保しやすくなってきます。
2.”筋節”が増えて、筋肉自体が長くなる
2つ目は「筋肉の長さ」に関してです。
筋肉を構成している「筋線維」は1つの細胞で
たくさんの核を持つ「合胞体」の組織です。
1つの筋線維の周囲には、およそ8〜10個の
「サテライト細胞」が備わっています。
「サテライト細胞」というのは、発生の過程で
筋線維にならなかった「筋”芽”細胞」です。
(引用:慶應義塾大学病院KOMPAS – Keio Universityより)
この細胞は非常に優秀かつ万能で、外部からの刺激に応じて
分裂も増殖も自由自在であると言われています。
継続的にストレッチをしていくと
「筋線維の末端部分にある核」が刺激を受け、
周囲の「サテライト細胞」に対して
『いつも引っ張られてるから、もう少し長くなっとこうよ』
という指示を出します。
これによって筋線維の末端に「新しい筋節」が追加され、
筋長が長くなっていきます。
3.”筋膜”の線維配列が整う
3つ目は筋肉を取り巻いている「筋膜」に関してです。
筋肉の周りには、筋膜と呼ばれる薄い膜が存在しています。
この筋膜の主な構成成分は「コラーゲン」という”線維性”の組織です。
線維単体では伸びることも縮むこともできませんが、
網目状の構造を取ることによって伸張性を生み出しています。
(引用:関節可動域制限【第2版】沖田実(三輪書店):P101)
継続的なストレッチで対象とする筋肉を適切な方向に
伸ばしていくと「線維の配列」が整ってきます。
それによって伸ばした際の筋膜による制限が
少なくなり、可動域が広がってきます。
4.”グリコサミノグリカン”が増えて、滑りが良くなる
4つ目は「滑りの良さ」に関してです。
皮膚や筋肉、筋膜などの結合組織の間には
「グリコサミノグリカン」という物質があります。
これは、水とヒアルロン酸が結合したゲル状の物質です。
これは結合組織間の”潤滑剤”として、それぞれの
組織の距離間を保ち、癒着を防いでいます。
(引用:a2-pro.comより)
筋肉に対して”伸びる”刺激を継続的に与えていくと、
結合組織間で「グリコサミノグリカン」が生成されます。
それによって結合組織間の”滑り”が良くなり、
柔軟性が高まってきます。
まとめ
コツコツと継続的にストレッチしていくと
”気づいたら”体が柔らかくなっていると思います。
そのとき体の中では
★”伸張反射”の臨界点が上がる
★”筋節”が増えて、筋肉自体が長くなる
★”筋膜”の線維配列が整う
★”グリコサミノグリカン”が増えて、滑りが良くなる
という4大変化が起こっています。
ぜひ内容をしっかりと理解して、より効果的なストレッチをしてください。