「体を柔らかくする・柔軟性を高める」というのは、
健康で快適な日々を送るためには重要な要素です。
体が柔らかくなればそれだけ「血液の流れ」も良好になり、
疲労の抜けも早くなります。
しかし、柔らかければ柔らかいほどいいのか…というと
必ずしもそうとは限りません。
関節の可動域
「体の柔らかさ」には、大きく分けて2種類あります。
それが
①「触った時」の”弾力”としての柔らかさ
②「伸ばした時」の”弾性”としての柔らかさ です。
この両者には一部相関する部分もありますが
「イコール」ではありません。
一般的な「体の柔らかさ」は、②の「”弾性”としての柔らかさ」を見ています。
つまり、体が柔らかいかどうかは
・「筋肉がどのくらい伸びることができるか」
・「関節がどのくらい動くか」
・「関節可動域の大小」
で測られます。
関節の動きが大きいほど、体が柔らかいということです。
人間の体の関節には、本来生まれ持った
「可動域」が存在しています。
例えば
手首の屈曲=90度
肘の屈曲=145度
股関節の屈曲=125度
膝の屈曲=130度
というように、体の構造に基づいて「可動域」が規定されています。
骨格や筋肉のつきかたで多少の誤差はあるものの、
基本的には共通しています。
ストレッチでは”伸び感”を得るために「可動域+α」まで
関節を動かしていく必要があります。
90度曲がる手首の関節に対して、45度曲げたとしても
ストレッチ効果は現れません。
ストレッチではどこまで伸ばせばいいの
「体の柔らかさ」を以下の3パターンに分けてみましょう。
①硬い
②柔らかい
③ゆるい
①硬い
「関節が硬い」というのは、適正な可動域の
「途中」で動きが止まってしまう状態です。
本来であれば「125°」動くはずの関節が、
60°までしか動かない…それが体の硬さです。
この場合は、ストレッチをすることで
痛みを伴う場合があります。
「+α」の角度は「大きな痛みが出ないところまで」です。
痛みは体からの危険信号でもあるので、
無理をしすぎないよう気をつけましょう。
②柔らかい
「関節が柔らかい」というのは、適正な可動域の
「全体」までしっかりと動く状態です。
この場合の「+α」の目安は、適切な関節可動域の10〜15°程度です。
反動をつけず、動きをコントロールすることが大切です。
③ゆるい
「関節がゆるい」というのは、適正な可動域を
「大幅」に超えてしまう状態です。
この場合は脱臼等のリスクもあるので、
ストレッチの際には注意が必要です。
「代償動作」をきっちりコントロールできているのに
「適正な関節可動域+30〜40度以上」動いてしまう場合は、
もはやストレッチは不適切です。
「適正な可動域+30〜40度以上」大幅に動いてしまう場合は、
筋肉だけではなく靭帯等も”ゆるんでしまっている可能性”があります。
そのような場合はエクササイズトレーニング等で筋力を高め、
逆に「関節の安定性」を獲得することのほうが大切です。
ただし、基本的に③ゆるい状態は
女性ホルモン(リラキシン=靭帯の緩和)の影響
筋量の大幅な減少
などが要因になっており、日常的なストレッチだけで
なることはほぼありえません。
まとめ
体を柔らかくすることは、健康においてとても大切です。
「体を柔らかくすること=正常な関節可動域まで動かせるようになること」
を目標にコツコツと頑張っていきましょう。
しかし「柔らかさとゆるさは違うということ」をぜひ理解しておいてください。