マスクの感染予防効果…ウイルスはマスクの穴を通り抜ける?
「風邪を引いてしまった……」「風邪を予防したい!」
そんな時、大概の方がマスクを着用して外出するでしょう。
感染予防のためにマスクを着用することは、
私たちの間で習慣化された共通認識となっています。
しかし、マスクの着用によってウイルスの侵入は本当に防げるのでしょうか?
ウイルスとマスクの穴の大きさ……と言われても、そう簡単にイメージできるものではありません。
そこで、「ウイルス」と「マスクの穴」を金魚すくいに例え、
マスクの感染予防率について説明したいと思います。
マスクの穴の大きさはインフルエンザウイルスの「約50倍」
ウイルスにもいろいろありますが、インフルエンザウイルスについて、考えてみましょう。
インフルエンザウイルスの大きさは約0.1μm(マイクロメートル)、
一般的なマスクの穴の大きさは約5μmです。
ちなみに、1μmは1mmの1000分の1。
つまり、マスクの穴の大きさはインフルエンザウイルスの「約50倍」となります。
ここで、金魚すくいに例えてみます。
ウイルスを「金魚」、マスクの穴を「金魚すくいポイ(金魚すくいの網)」とすると、
4cmの金魚をすくうのに、それに対応する金魚すくいポイの大きさは50倍の200cmになります。
しかも、この金魚すくいポイは紙が貼っていないただの枠の状態なのです。
この巨大な金魚すくいポイでは、何回やってもウイルスという金魚をすくうことは難しいのです。
通常のウイルスは0.3μm以下であり、マスクの穴ぐらい簡単にすり抜けてしまいます。
ノロウイルスに関しては、さらに小さく0.03μmしかありません。
一方で、ウイルスに比べると、スギ花粉は約30μmと大変大きく、
非常に小さい粒子状物質PM2.5でも約2.5μmもあるのです。
インフルエンザウイルスを4cmの金魚とすると、PM2.5は1mのブリ、
スギ花粉は12mのジンベイザメほどの大きさになるのです。
マスクの穴の大きさは約5μmなので、スギ花粉はマスクの穴を通り抜けられないことになります。
マスクに万全の感染予防効果はないが「咳エチケット」には大切
説明してきた通り、マスクに感染予防効果はそこまで期待はできません。
しかし、咳をした際のウイルスは唾液と共に飛散するため、
マスクは咳エチケットとしては有効な道具です。
ウイルスが0.3μmであるのに対し、唾液は約5μmと大きいため、
マスクの着用により侵入を防ぐことができるのです。
厚生労働省が作成した『新型インフルエンザ等対策ガイドライン』にも以下のように記載されています。
感染防止
発症した者がマスクをすることによって他の者への感染機会を減少させる効果は認められており、
自らが発症した場合にはマスクは着用することが必要である。
他方、まだ感染していない者がウイルスの吸い込みを完全に防ぐという
明確な科学的根拠はないため、マスクを着用することのみによる防御を過信せず、
手洗いの励行や人混みを避けることなどの他の感染対策も講じる必要がある。
『新型インフルエンザ等対策ガイドライン(平成25年6月26日作成
平成28年3月25日 一部改定)』より
欧米では日本のような文化がないため、症状もないのにマスクをしていると
重病人と勘違いされることもあるようです。
ガイドラインにもあるように、感染防止にはマスクを過信せず、
手洗いや人ごみを避けるなど他の感染対策も必要といえるでしょう。